Matsu Blog

マーケティング、事業開発、統計学をテーマに何かしらを書き留めていきます

Customer-Problem Fit達成のためにやるべきこと

Customer-Problem Fitとは、スタートアップにおいて、課題が実際に存在するか、解決する価値のある課題であるかを検証するプロセス、またはそれらが検証された状態のことです。

今回、このCustomer-Problem Fitのフェーズで実施すべきタスクについて、以下三つの記事・資料を参考に自分なりの解釈で「こうすればよいのではないか?」という進め方をまとめていきます。

Startup Science 2020完全版 (2550 page) | by Masa Tadokoro (田所 雅之) | Medium
新規事業立ち上げ時に役立つ仮説検証ノウハウ集 - ReLic
Turn Your Idea into a Product Users Want: Identify the Right Problem – HBS Accelerate

前提条件

このプロセスを開始するにあたり、あらかじめ具体的な事業アイデアが必要となります。

具体的には、リーンキャンバスに内容を書き切れるくらいの基本事項は定まっている必要があります。ちなみに資料①, ②でも、リーンキャンバスに使った初期プランができていることを前提としていました。

ただし、この時点でアイデアは未検証(Customer-Problem Fitで検証するので)であり、確定されたものではなく、検証するなかで変化します。

Why Customer-Problem Fit

あなたの想定する顧客の課題が本当に存在するのか、切実で解決するに値する課題なのかを見極めるためにこのプロセスが存在します。

プロダクト・サービスの品質や使用される技術、採用するビジネスモデルがどれだけ優れていても、顧客の課題が存在しない、あるいは大した課題でなければ、事業として成り立ちません。

思い浮かぶプロダクトがあれば思わず作り始めてしまいそうなところですが、まずはこのプロセスを通して課題の質を向上させることが先決です。まさに「急がば回れ」ですね。

Customer-Problem Fitのプロセス

✔︎課題定義と構造化

この段階の課題はまだ未完成かつ未検証な状態であるため、課題そのものが曖昧なままになっている可能性があります。

課題の原因となる事象や背景はないか、課題を細分化・抽象化できないかを検討し、必要に応じてロジックツリーなどで整理します。

課題を見直し、整理したうえで改めて顧客セグメントを再検討します。このとき、想定されるあらゆる顧客セグメントの中でもっともその課題を切実に解消したい、あるいはもっとも課題に悩んでいると考えられる顧客セグメントを特定することがポイントとなります。

✔︎ペルソナの定義

顧客セグメントの情報を基に具体的な顧客像であるペルソナを定義します。年齢、性別、趣味、職業、年収、生活習慣、価値観などをまとめることで、顧客像がより鮮明になります

また、共感マップを使って、その人が普段目にすること、考えていること、耳にしていること、感じていることなどを整理するとさらに具体的になります。

✔︎カスタマージャーニーマップの作成

課題の性質に合わせ、カスタマージャーニーマップを作成します。

顧客の辿るフェーズを横軸、顧客の行動・感情・課題を縦軸に描くパターンが多いかと思います。これにより、顧客の課題発生までの時間的な流れを理解することができます

また、後の顧客インタビューの際、インタビュイーの回答とあらかじめ作成したカスタマージャーニーマップとの差異を確認することができるため、顧客に関する認識形成・学習に役立ちます。

✔︎ジャベリンボードの作成

ジャベリンボードは、顧客、課題、課題発生の前提条件、ソリューション、検証方法などを1グループとし、課題とソリューションを検証するツールです。

カスタマージャーニーマップから一歩踏み込み、顧客インタビューのなかでジャベリンボードで設定した仮説グループを主体的に検証し、それらに関する学びを得ることが目的です。

ここでは、単に課題を明確化するだけでなく、課題が発生する前提条件も洗い出し、優先順位を付けることが重要です。

✔︎顧客インタビュー

これまでの成果物をインプットしたうえでペルソナと同様の特性を持つ人にインタビューを行います。一人と深く話をするため、基本的には1対1でのインタビューが適切です。

インタビューの結果を記録・考察した後、そこから得た内容をジャベリンボードにフィードバックします。必要であれば、ペルソナやカスタマージャーニーマップも修正しましょう

このサイクルをCustomer-Problem Fitの完了条件を満たすまでひたすら繰り返していきます。

✔︎市場規模の分析

スモールビジネスではなく、大規模なスケールを目指すスタートアップの場合、市場規模が小さすぎないことを確認しましょう。

多くの生活者にスケールしうるものであれば問題ないですが、極端な話TAM(Total Accessible Market)が100人となると再考せざるを得ません。

Customer-Problem Fitの完了条件

以下のような条件を満たせばCustomer-Problem Fitしたものとし、次のフェーズに進みます。
・課題が存在していること
・課題が解決するに値する切実な事柄であること
・ペルソナ・カスタマージャーニーマップが確定していること(インタビューを繰り返した結果、修正箇所がほとんどなくなってきている)
・課題の詳細(5W1Hなど)を文章として明確に表現できること

ということで、Customer-Problem Fitについて簡単にまとめてみました。今後もこういうジャンルの記事を書いていくと思うのでご期待ください。

以下、参考資料です。