Matsu Blog

マーケティング、事業開発、統計学をテーマに何かしらを書き留めていきます

慶應通信で社会人大学生していた頃の話

4年間の(社会人)大学生活が終わってもう一年経つ。記憶が残っているうちに自分の経験を残しておきたいと思い、この記事を書くことにした。

特に有益なことは書き留めるつもりはないが、慶應通信慶應義塾大学 通信教育課程)を検討している人や在学中の人にとって何か参考になることがあるかもしれない。

ちなみに、今ちょうど来年度の出願受付中みたいです。 www.tsushin.keio.ac.jp

あなたは誰

SIerシステムインテグレーター)に勤めるごく普通の20代半ばの男。

両親が高卒ということもあって大学に行くという選択肢が頭に浮かばず(言い訳)、当時興味のあったプログラミングを学ぶために高専に行くことにした。その後、上述のSIerに入社し現在に至る。

なぜ大学に入ろうと思ったか

新入社員1年目の研修を受けていたある日、全社宛にあるメールが届いた。

内容は海外での研修プログラムだった。そのときはグローバルにも関心があったので興味津々で読み進めていったが、条件をよく見るとそこには「大卒以上」の文字がある。 何ともいえないもやもやを感じた。

学歴がないだけで挑戦できる機会が限られてしまうなんて...、この時そう思ったことが大学入学を目指すきっかけとなった。 (ちなみにこの出来事以降、学歴によって不利になるようなシーンにはまったく遭遇していない。その意味でも奇跡的な出来事だった)

なぜ慶應通信

ネットで通信制の大学について調べ、放送大学や法政大学など幅広い選択肢があることを知った。慶應の通信では経済学と商学部の両方の科目を履修できると知り、商学は実務とリンクする部分が多いのではないかと思って慶應通信を選んだ。

出願

あまり覚えていないが小論文を書いて提出した気がする。

どういう選考基準がまったく分からないんだか不安だったが、論文・レポートの書き方に関する書籍を見ながら自分なり書き上げた。無事に合格し、嬉しそうにTwitterに投稿した記憶がある。

レポートと試験

履修の仕組みはいろいろあるが、基本的には科目ごとに指定されたテキストで学習したうえでレポートを作成し提出、そのうえで試験会場で試験を受けるという流れだった。レポートと科目試験、両方とも合格水準に達すると単位が取得できる。

レポートを書くときは毎回、何を書いていいか分からず無駄に時間をかけ、時間だけが過ぎていって締め切りが近くなって無理矢理書き切るというのが常であった。夏休みの宿題を最後の1週間でやるタイプだったからまあそうなる。時間をかけた分、自分の書いた文章に不思議と愛着が湧き、レポートを印刷するたびにあたかも小説を書き上げたかのような気持ちになったことが印象深い。

肝心の成績はぼちぼちだった。あまりよくはない。必修科目はC(ギリギリ合格)が多く、それ以外は普通くらい。一方でレポートは比較的順調に合格をもらっていた記憶がある。再提出になったのは数回ほど。レポートの問いとストーリーを考えるのには結構時間を使っていたのでそのおかげだと思う。

ちなみに、履修実績としてはこんな感じだった。西洋史、金融論でだいぶ苦しんだことがうかがえる。(成績も公表してよかったんだけど3月中に成績照会できなくなっていたので記録が残っていない) f:id:wannko5296:20210222103105p:plain

卒業論文での失敗

卒業論文はだいぶ遠回りをした。

はじめに卒論の指導を受ける際、取り組みたい内容を何百文字かでまとめて提出しなければならないのだが、それを知ったのが締め切りの数日前だった。当時関心のあった投資対効果についてレポートを書きたいと思ってとりあえず書いたが、担当の教授から「データは手に入るの?難しいんじゃない?」と言われ、自分のアホさに気づいた。その場でテーマを変更することになり、その教授の得意領域であった株価の変動要因の分析をするという話でまとまった。

しかし... なかなか手が進まない。モチベーションが湧かなかった。そのまま半年か1年経ち、このままではお互い(教授と私)損をすると判断し、論文のテーマを変更したいと教授に申し出た。

結局、フリマアプリにおける購買要因の分析をテーマにすることになった。データを収集するために Python でWebクローリングのスクリプトを書き、手動で毎日実行していた記憶がある(なぜか自動化しなかった)。ある程度関心のあるテーマだったため隙間時間を使ってデータ分析、論文執筆を進め、無事に書き上げることができた。

自分自身が本当に明らかにしたいと考える問いを日頃の生活や先行研究の中から見つけ出すことが特に重要だと思う。ガソリンもなく走ることはできない。モチベーションもないのに手間も時間もかかる論文執筆を仕事をしながら進めるなんてバカらしくなる。

学業との両立

喉元過ぎれば何とやらと言うが今となってはそこまで大変だった記憶はない(が、書き始めていろいろ大変だった記憶が蘇ってきた)。通勤が電車・バスだったのでその時間でテキストを読むようにしていた(だいたい途中で寝落ちする)。

常に脳内が慶應通信のことばかりだった。仕事中の隙間時間もそうだし、仕事が終わってからも大学のこと、土日もそうだ。脳内の領域がほとんど占領されていた。

卒業した後は、仕事で興味関心を持ったものを終業後や休みの日に調べたり実践したりとスキルアップの時間をとることができているが、在学中はそんな余裕がなかった。本来、一番力を入れるべき仕事にコミットできなかった。仕事を通した学習・成長機会を自ら捨てたようなもので、これは本当にもったいなかったと今でも思っている。

あと、妻にも迷惑をかけた。「私と大学どっちが大事なの!?(意訳)」と言われたこともある。それぐらい余裕がなかった。

モチベーションの維持

やめようかと思ったことはあまりなかったと思う。実際何らかの理由で自ら退く人も多く、それに対して何か言うつもりはまったくないが、私は、私自身が途中であきらめることはあり得なかった。あまりにダサすぎる(私自身に対してだから誤解しないでね)。

逆に言うと、理由はどうであれ絶対に卒業してやるという思いがなければ、続けるのはなかなか難しいと思う。自分のか処分時間をすり減らして学業に取り組む必要があるわけで、思いが中途半端だと「なんで私こんなことやってるんだろう」と感じてしまうのも仕方ない。

卒業試験

話は飛んで最後の難関、卒業試験まで進む。

自分の取り組んできたことを自分の言葉で説明できれば大失敗することはないだろうと考えていたので、不安はあったがそこまでではなかった。

はじめに副査の先生が入ってきてご挨拶。非常に優しそうな感じの方で一安心。しかし待てど暮らせど指導教授(主査)が来ない。雑談を交え、フライングで論文の説明が始まった。しばらくして「いやーすみません」と教授が来て改めて説明開始。その後の質疑応答もかなり和やかなムードで、本当に雑談をしてるかのような雰囲気で審査は終わった。質問も真面目に取り組んでいれば答えられるような内容ばかりでさほど難しいものはなかった。

その後、無事に卒業通知が届いた。文字数めちゃくちゃ少なかったんだが本当によかったんだろうか。 f:id:wannko5296:20210222103142p:plain

慶應通信での思い出

夏期スクーリング一択である。毎年8月になると日吉・三田キャンパスに学生が集まり授業を受ける。毎日17時過ぎに授業が終わると近くにあるHUBで何時間も飲んでいた記憶がある。普段友人と飲みに行ったりすることもないので、自分の中ではかなり特別感があった。その1,2週間で年間に摂取するアルコールの9割くらいは摂取していたと思う。

自分とはまったく違うバックグラウンドでまったく違う将来像を描いている人たちと話すこともなかなかないのでかなり新鮮だった。今思い返すと懐かしい。 いろいろあったなあ。

慶應通信で学んでよかったと思うこと

文章を書くことが少し得意になった気がする。 またレポートや論文のストーリーの立て方も身についたと思う。これらは実務の中でも大いに役立っていると感じている。

専門的な領域では、統計学(正確に言うと卒論で取り組んだ部分)に関する知識が実務と重なり、非常に助かった記憶がある。入学当時からそういう業務を行なっていたわけではなかったが、卒業する1年ほど前頃から携わることになり、 体系的な知識が求められる状況において即座に実践に当てはめて対応できた。

何より良かったと思うのは、学習習慣が身についたこと。仕事や育児以外の可処分時間を使って仕事のことや自分の関心あることについて知識を習得したり何かをアウトプットしたりすることが自然にできるようになった

今後

卒業後は大学院(通信)への入学を検討していたが、ひとまずは仕事に注力することにした。

自分の関心のある社会心理学あたりで本当に研究したいテーマが定まったら次のステップも検討していきたい。その道の専門家からアドバイスをもらいながら論文を書けるというのはかなり貴重だと思う。

最後に

お読みくださりありがとうございました。

(ちなみに、アイキャッチの写真は日吉キャンパスで撮ったものです。夏ももう終わるなあとか感傷に浸りながら撮った記憶があります)