行動経済学ことはじめ
「行動経済学」を定義する
行動経済学を一言でいうと「人の振る舞いとその結果を理解するための学問」。
(なぜその商品を買うのか、なぜ寄付をするのか、なぜギャンブルをするのか等)
その他にも以下のように表現することもできる。
- 標準的な経済学のモデルに対し、そのモデルやモデルをもとに予想される内容に現実性があるかどうかを試行する学問
- 心理学などの社会科学分野の知見を経済学の領域に適用した学問
行動経済学のはじまり
- アダム・スミスの『道徳感情論』
道徳感情論では報酬や罪など心理的な事柄も取り上げており、現代の行動経済学の観点と近いものがある。経済学の父であるアダム・スミスは行動経済学の父であるともいえそう。
行動経済学の誕生は早かったものの、その後の経済学で人の心理や感情は軽視・捨象され、経済モデルを使用した数値的分析が中心となっていった。そのため、20世紀後半になるまで行動経済学に注目を集めることはなかった。
従来の経済学の問題点
- 強い前提の下で議論が進んでおり、従来の経済学でモデル化した内容と実際の経済現象が異なることがしばしばある。
例えば
- 合理的経済人の仮定(人は必ず合理的な選択をする)
- 市場メカニズムの仮定
人の合理性の限界
そもそも、人の認知能力には限界があるため、その範囲の中で合理的な選択・意思決定しかできない。(限界合理性)。 また、過去の経験が邪魔をして誤った解釈をしたり、情報の提示の仕方によって意思決定が歪められたりするなど(認知バイアス)、人の意思決定は、そもそも経済学が想定しているように合理的ではない。
行動経済学の意義
従来の経済学の問題点を踏まえ、人の心理的な性質も考慮に入れながら、より現実に則した意思決定・経済現象の分析を目指す点に意義があると言える。
参考文献
本記事は以下の書籍の内容を筆者の解釈で要約したものです。
Behavioral Economics (Routledge Advanced Texts in Economics and Finance)