Matsu Blog

マーケティング、事業開発、統計学をテーマに何かしらを書き留めていきます

なぜARPUを離脱率で割るとLTVが求められるのか

LTV(Lifetime value: 顧客生涯価値)を売上ベースで計算する場合、計算式は以下のようになります1

LTV = 顧客一人あたりの平均収益(ARPU)÷ 離脱率2

出所: 【意外と知らない】LTVの計測方法と活用方法を徹底解説! | データのじかん

なるほど、と言いたいところですが、なんで離脱率で割ってるのか直感的にはわかりません。

ということで計算してみました。

計算

まず、1ユーザーではなくユーザー全体の総収益からユーザー全体のLTVを求めていきます。その際、ユーザー数は毎月一定の割合(離脱率)で減少すると仮定します。言い換えると、毎月一定の割合のユーザーが継続利用しているといえます。

継続率をr, 離脱率をcr3, ユーザー数をu, 継続率をrとすると、LTVはこんな感じで求まります。

LTV = u × ARPU + u × r × ARPU + u × r2 × ARPU + ... + u × rn × ARPU・・・①

※あえて等比数列の公式は使わずこのまま進めます。

両辺にrを掛けると、

r × LTV = u × r × ARPU + u × r2 × ARPU + ... + u × rn+1 × ARPU・・・②

ここで①-②して

(1 - r) × LTV = u × ARPU (1 - rn+1)

r < 1なのでrn+1は0に収束します。したがって、

(1 - r) × LTV = u × ARPU

LTV = (u × ARPU) / (1 - r)

最終的に求めたいのはユーザー一人あたりのLTVなのでuで割ると、

LTV = ARPU / (1 - r)

継続していない人=離脱した人なので、1 - r = crとなります。したがってLTVは、

LTV = ARPU / cr

ということで、ARPUを離脱率で割るとLTVが求められることがわかりました!冷静に計算すると結構簡単なことでしたね。

この記事が誰かのお役に立ったのであれば幸いです。

参考


  1. 計算方法は他にもいろいろあるので(というかありすぎ)、調べてみてください。

  2. ちなみに、ARPU、離脱率の集計単位は商材の性質に応じて自由に設定できますが、多くのサービスは月ごとになるかと思います。

  3. 離脱率は英語でchurn rateと言います。