Matsu Blog

マーケティング、事業開発、統計学をテーマに何かしらを書き留めていきます

課題の質を高める

何かしらの事業を始める際、あるいは既存のプロダクト・サービスに新機能を加えたりPivotしたりする際、まずはターゲットとなる顧客やユーザーの課題を正しく理解する必要があります。

ただ、顧客にとって重要な課題を見極めるのは簡単ではありません。表面的な課題は認識できても、その裏にある背景が読み取れなければ適切な解決策を提示できません。

ということで、課題の質を高めるために何をすべきか、二つの文献(しかも一部分だけ)をまとめつつ、個人的な所感を書き留めます。

課題の質を決める要素

ネット上で良くも悪くも有名(?)な田所氏によると、スタートアップにおいて課題の質を決めるのはファウンダーが以下の要素を具備しているかに依存すると主張しています。

①高い専門性
②業界(現場)の知識
③市場環境の変化(PEST)に対する解像度

出所: 起業の科学 スタートアップサイエンス

①~③への理解があれば、表層的な課題にとらわれることなく、現場のリアルな困りごとをその背景にある真の課題を読み解き、適切な打ち手を発想することができるわけです。

一方で、シリコンバレーで著名なKevin Ryan氏は、質の高いアイデアを特定するための方法として以下の三つを挙げています。

①Be Observant—Look for Inefficiencies and Problems Every Day
②Take Time to Define the Problem
③Identify the Right People

出所: How Do You Identify a Big Idea? AlleyCorp's Kevin Ryan Shares Tips – HBS Accelerate

彼はさまざまな分野で多数の事業を成功させており、業界特化の専門性は必須ではなく、むしろ独創的な視点で物事を見られるというメリットさえあると言っています。

彼の場合、日常の中で既存のプロダクト・サービス、何らかの仕組みに対して非効率や製薬がないか、好奇心を持って観察することを重要視する一方で、世に出る新しいプロダクト・サービスにも高い関心を持っているようです。

また、顧客との対話も重要視しており、顧客や課題に関する学習が飽和するまで、インタビューを行うそうです。

個人的に思うこと

二つの文献の一部だけ切り取って何か意見を言うのもアレですが、PESTへの理解と現場の理解はお二方とも共通して重要と考えられていたかと思います。

誰かが困っている、あるいは誰かが喜ぶだろうというリアリティのない課題にならないよう、n=1であっても生身の人間を喜ばせることができるかという視点を持つことで課題の質が上がるのだと思います。

どのようなビジネスモデルを採用するにしても、着目する課題がその人たちにとって切実なものでなければ心理・行動の変容は生じず、事業として成功するはずもないため、課題の質の追求は当然最重要課題になるわけです。

またPESTの理解は、社会の趨勢を見極め今後起こりうる社会トレンドを予測するだけでなく、新しく生まれたアイデアと現場の課題や状況とを照らせて解決策を考えたり、顧客自身を取り巻く環境を変え得る因子の変化を把握したりすることにつながります。

この二つを踏まえると、俯瞰的に見ることと近視眼的に見ることの二つをうまく行き来することが課題の質を上げることにつながると言うこともできそうです。

おわりに

ここまであえて非常に狭い論点で述べてきましたが、アイデアを考えるときの一つのヒントをもらえた気もしています。

今日は謎日記になってしまいましたが、次回以降はもう少し中身のある内容を書こうと思います。ではでは。

参考資料